定期券の割引率、払い戻し金額、お得な購入方法

2019-10-09

通勤や通学など、多くの人が利用している定期券

その割に、定期券の仕組みお得な買い方は意外と知られていません。

この記事では、通勤定期券(学割などではない一般の定期券) の割引率や払い戻し率お得な購入方法について、JR東日本を例に詳しくご紹介します。

 

定期券の有効期間と割引率

ほとんどの鉄道会社では、定期券は「1ヵ月」「3ヵ月」「6ヵ月」の3種類の期間が用意されており、それぞれ割引率が異なります。

 

定期券は何回乗れば元がとれる?

JR東日本の場合、乗車距離が長い方が、定期券のお得さが増す傾向があります。

例として、いくつかを表にまとめました。

区間 片道運賃(切符) 定期運賃(1か月) 定期運賃÷乗車運賃
JR東京駅⇔JR品川駅 170円 5,270円 31(回)
JR東京駅⇔JR横浜駅 480円 14,170円 29.5(回)
JR東京駅⇔JR大宮駅 570円 16,110円 28.3(回)
JR東京駅⇔JR木更津駅 1,340円 35,600円 26.6(回)

上の表のように、東京⇔品川間ならば、1か月定期券の元をとるのに31回乗車する必要がありますが、東京⇔木更津間なら27回で元がとれます。

しかし、必ずしも「距離が長くなれば長くなるほど定期券がお得になる」わけではなく、26~27回が限界ラインになります。

 

なお、JRの乗車運賃は「営業キロ」と呼ばれる走行距離に応じて決められています。そこに、都市部に設けられた割安区間などの「運賃計算の特例」が加味され、計算されています。

(運賃計算の特例についてはJRオフィシャルサイトのこちらのページをご参照ください https://www.jreast.co.jp/kippu/index02.html

 

 

6ヵ月定期の割引率は大きい

期間が長い定期券の方が、割引率が高くなります。特に、6ヵ月定期は割引率が高いです。

1か月定期と比べて、3か月定期は約5%割引き6か月定期は約20%割引きになります。

 

JR東京駅 ⇔ JR横浜駅」間で計算すると以下のようになります。

有効期間別の比較

  通勤定期運賃 1ヵ月あたりの運賃
( )内は1ヵ月定期との比較
1ヵ月定期 14,170円 14,170円(100%)
3ヵ月定期 40,370円 13,457円(約94%)
6ヵ月定期 67,980円

11,330円(約80%)

これを考慮すると、3ヵ月定期は無理して買うほどでもない(1か月定期×3回でもそれほど差がない)ですが、6ヵ月定期はできるだけ買った方がよいです。

 

 

片道運賃と定期運賃の微妙な違い

少し細かい話になりますが、片道運賃が同じでも定期運賃が異なる区間があります。

JRの運賃を以下で比較していますが、片道運賃が同じ営業キロ「26~30キロ」や「31~35キロ」区間では、定期券の料金は異なります

営業キロ:km 切符片道運賃
()内はIC運賃:円
定期券運賃(1か月):円
1~3 150(147) 4,620
4~6 190(189) 5,600
7~10 200(199) 5,940
11~15 240(242) 7,260
16~20 330(330) 9,900
21~25 420(418) 12,540
26 510(506) 14,750
27~30 15,010
31 590(594) 17,100
32 17,560
33~35 17,810

※2019年10月1日改訂時のものです。
参照:https://www.jreast.co.jp/consumption-tax2019/pdf/usually_main.pdf (片道運賃)

 https://www.jreast.co.jp/consumption-tax2019/pdf/commuting_main.pdf(定期運賃)

 

「片道運賃が同じだからと定期券も同じ感覚で ”距離を長めに” 購入する」と、思わぬ割高料金になる場合があります。

 

 

定期券の払い戻し金額の仕組み

定期券の払い戻しは、有効期間が1か月以上残っている場合のみ可能です。

(買い間違い等の場合は、有効期間開始後7日以内に限り日割り計算で払い戻しができます)

 

払い戻し額の計算方法

基本的な払い戻しの計算方法は、「定期券発売額」-「使用済月数分の定期運賃(端数日は切り上げ)」-「手数料」となります。

(手数料は鉄道会社によって異なり、JR東日本の場合は220円です)

 

「6ヵ月定期で残り2ヵ月残っている状態」で払い戻しをする場合、「2か月分残っているから ”2か月分の定期代が戻ってくる”」というわけではありません

この場合は「6ヵ月定期代 ー (3ヵ月定期代+1ヵ月定期代) -手数料」となります。

 

払い戻し計算の具体例

JR東京駅 ⇔ JR横浜駅」間の6か月定期を、まる2か月残して払い戻した場合を例に計算します。

67,980円(6か月定期代) ー 54,540円(3か月定期代+1か月定期代) ー 220円(手数料)  = 13,220円です。

2か月残っていても、払い戻し額は1か月定期代(14,170円)にも満たない金額となり、なかなかシビアです。

また、4か月を1日でも過ぎれば5か月と同じ扱いになり、払い戻し額の計算は「13,220円ー14,170円」となるので、1円も戻ってきません

 

つまり、6か月定期は4か月を1日でも過ぎれば払い戻し額は0円です

 

 

払い戻しの方法

モバイルSuica以外

自動券売機では定期券の払い戻しができません。「みどりの窓口」等を利用する必要があります。

窓口での払い戻しでは、本人確認ができる書類が必要です。本人以外が払い戻しする場合には代理人に「委任状」などの公的証明書が必要となります。

また、クレジットカードで支払っていた場合、本人以外は払い戻しできず、購入に使ったクレジットカードを用意する必要があります

 

モバイルSuicaの場合

モバイルSuicaの定期券ですと、スマホ上で払い戻しが完結します(払い戻しは、手数料を引かれた金額が指定した銀行へ振り込まれます)。

 

 

お得になるボーダーラインを計算

それでは実際に、定期券と片道乗車券、どちらを購入すべきか、判断が難しいケースで計算したいと思います。

計算は、JR東日本のJR東戸塚駅 ⇔ JR品川駅(片道480円、1か月定期14,170円)のケースで行いました。

また、定期券を購入しない場合は回数券を使うこととします(回数券は10回分の料金で11回分の乗車券が買えます。1回あたり約9%割安になる計算です)。

 

1か月未満の場合

まずは1か月未満の場合を計算します。

この記事の冒頭で用意した表ですが、元がとれる回数は26回~31回まで開きがあります。

区間 片道運賃(切符) 定期運賃(1か月) 定期運賃÷乗車運賃
JR東京駅⇔JR品川駅 170円 5,270円 31(回)
JR東京駅⇔JR横浜駅 480円 14,170円 29.5(回)
JR東京駅⇔JR大宮駅 570円 16,110円 28.3(回)
JR東京駅⇔JR木更津駅 1,340円 35,600円 26.6(回)

乗車回数がその回数以下の場合は、定期券を買わない方がお得になります。

また、乗車回数がそれ以上であっても、回数券を使用することを考えれば、もう少し「定期券がお得になるボーダーライン」が上がります。

 

例えば上記の東京⇔横浜間の場合、1か月定期の14,170円は「回数券+切符」ですと「回数券22枚(9,600円) + 切符9枚(4,320円)」と同等ですので、乗車回数が31回までなら「回数券+切符」の方が安くなります。

 

ただし、回数券を利用する場合は出勤日数が増えた場合(例えば休日出勤が発生した等)、お得度は減っていきます。

 

4か月の場合

次は4か月の場合を計算します。

購入のパターンは【3か月定期券+1か月定期券】か【3か月定期券+回数券・切符】のどちらかになります。

両者の比較については、共通する「3か月定期」を取り除けば、先ほどと同じく「1か月定期」と「回数券・切符」の比較となります。

カレンダーにもよりますが、端数の1か月を乗車回数約30回(15往復) で済ませるのはなかなか厳しく、【3か月定期券+1か月定期券】を購入するのが無難でしょう。

 

5か月の場合

この場合は【6か月定期】か【3か月定期+1か月定期+回数券・切符】の2択です。

東京⇔横浜間のケースでは、6か月定期券は67,980円です。

一方の【3か月定期+1か月定期+回数券・切符】の場合、3か月定期は40,370円、1か月定期は14,170円ですので、4か月分で54,540円です。
この時点で6か月定期券との差額は13,440円です。
この差額で残り1か月をまかなえれば、【3か月定期+1か月定期+回数券・切符】の方が安くなります。

13,440円は片道運賃(480円) 28回分ですが、回数券を使えばちょうど30回分となります。

これまた1か月を30回(15往復)で済ませる事になりますが、5か月間のうちに年末年始やゴールデンウイークなどの長期休暇があれば、その期間に「回数券+切符」の期間をあてがえば、30回未満に抑える事が可能かもしれません。

とはいえ、色々と綱渡りになりますし、手間なども考えればここでも素直に6か月定期を買っておく方がよいと思います。

 

 

金券ショップやSuicaでの割引

先ほどの計算では、片道運賃は切符の料金で計算しました。

しかし、切符を金券ショップで購入したり、切符ではなくSuicaを利用することで、もう少し安くなります。

金券ショップでは切符をおおよそ5%引きで購入できますし、Suicaを利用すると同区間が473円(切符ですと480円)になります。
(ちなみに、切符よりSuicaの方が高い区間も存在します)

 

 

お得な回数券や株主優待

通勤のケースで使うのは稀ですのであくまで参考程度になりますが、鉄道会社によってはお得な切符や回数券、株主優待が存在します。

 

お得な回数券(主に私鉄各社)

例えば東急電鉄の場合、以下のような回数券があります。

時差回数券・・・10回分の値段で12枚。平日の10:00~16:00と土日祝日のみ利用可能。

・土・休日割引回数券・・・10回分の値段で14枚。土曜・日曜・祝日のみ利用可能。

 

お得な切符

区間や乗降が自由なフリーパスなどが存在します。

例えばJR東日本の「休日おでかけパス」は東京・神奈川から千葉・埼玉・栃木にまたがるフリーエリアを大人2,720円で、1日間自由に乗ることができます。

休日と書いてあるので基本は土日祝ですが、年末年始・ゴールデンウイークの期間や、夏休みの期間(7月20日~8月31日)も利用が可能です。

木更津⇔立川間は片道1,980円ですが、こちらの切符を使うと往復2,720円でいけますので、切符より1,240円安くなります。休日だけでなく、7・8月の出張などにも利用できそうです。

休日おでかけパスについて詳しくはJR東日本のサイトをご参照ください https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?t0=t0&t3=t3&t4=t4&mode=type&SearchFlag=2&ctl01.x=28&ctl01.y=10&pc=3&GoodsCd=2490

 

株主優待券

鉄道各社の株主優待では、切符の割引券や全線切符フリーパスなどが用意されています。

全線切符やフリーパスを優待でもらうにはかなりの投資金額が必要となり、定期代の節約としては現実的ではありませんが、金券ショップなどで売られていることがあります。

うまく利用すれば、切符代・定期代を抑えることができますので、まずはご自身が利用される鉄道会社の株主優待をチェックされることをおススメします(JRよりも私鉄の方がお得な優待が多いです)。

一部の鉄道会社へのリンクを掲載しておきます。

 

 

その他のお得な購入手段

最後に、定期代で得をするのに欠かせない3つの方法を簡単にご紹介します。

 

区間の分割購入

「区間の分割購入」とは、1つの区間を2つ以上に分けて購入する方法です。

例としてJR東戸塚駅から品川駅に向かう場合を挙げます。この場合片道の運賃は480円(切符)です。

しかし、途中のJR鶴見駅で一旦切符を区切り(分割し)、「東戸塚→鶴見」と「鶴見→品川」の切符を購入します。

すると、「東戸塚→鶴見」の運賃が220円、「鶴見→品川」の運賃が220円で、合計440円となり、「東戸塚→品川」の切符を買うより40円安くなります

 

このような区間分割については、こちらのサイトで最安の分割方法が調べられます(→乗車券分割プログラム http://bunkatsu.info/cpg.cgi

 

区間分割は切符やICの支払いだけでなく、定期券でも可能です(もちろん、途中で1度改札を出なければいけないわけではありません。しかも、定期券を1枚にすることもできます)。

また、新幹線でも区間分割は使えます。

 

区間分割については、以下の記事で詳細をまとめています。

 

クレジットカードでの購入

定期券は高額なので、クレジットカードで購入してクレジットカードのポイントを貯める方がお得です。

高還元率のカードを用意するとお得度が高まります。

JRを利用する場合、私のおススメはエポスゴールドカードで、1.5%以上の還元率を目指せます。その理由は以下の記事にまとめました。

 

 

 

JREポイントとモバイルSuica

JR東日本でしたら、定期券の購入で2%分のJREポイントが貯まります。

2%貯めるには、モバイルSuica(スマホ搭載のスイカ)で定期券を購入し、JRE POINTサイトに登録する必要があります。

 

モバイルSuicaや、JREポイントについては以下の記事にまとめています。

 

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

定期券や乗車賃の節約を考えている人のお役に立てましたら幸いですm(_ _)m

 

 

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